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ツアー３日目は、山出さんのナビゲートによる別府市内アートスポット巡りです。
前日のトークショーの内容をふまえたうえで、皆さんの目には作品がどのように映るのでしょうか。

はじめに訪れたのは、別府観光港待合室にあるマイケル・リン氏の巨大な壁画作品「別府04.11-06.14.09」です。2009年に開催された別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」に出展された作品で、会期終了後も継続して展示されています。波と花をモチーフに、この空間に合う伝統的な台湾テキスタイルのパターンをまとった色鮮やかな壁は、来場した人々を魅了します。

２つ目のアートスポットは、別府温泉発祥の地ともいわれる別府市浜脇地区の、築100年以上の長屋を改装したアート体感型宿泊施設「浜脇の長屋」です。アーティスト廣瀬智央氏の作品、「天空の庭」と「カボスの家」の二つが展開しています。

狭い路地を通った先にある入口に入ると、なんとも良い香りが。上を見上げると、うすい白布の上になんと本物のカボスが。こちらのお部屋はもともと地域のサロンとして使われていた場所だそうです。照明効果によってカボスが幻想的な陰影をつけている様がとても美しく、カボスの爽やかな香りによって五感を刺激される空間でした。

もう一つ奥の長屋には、青い光と闇の空間が視界いっぱいに広がった部屋が広がり、来場者を驚かせました。建物の外観からは想像できないほどにモダンなデザインの部屋の床にビー玉が敷き詰められており、下から光が灯されています。昼と夜の空をイメージしてそれぞれ光が変化していく様はとても幻想的でした。吹き抜けになった２階には強化ガラス板が張られた寝室スペースがあり、一人ひとり寝転がったり立ってみたりしながら浮遊感を味わうことができました。

次に一行が向かったのは、閉館したストリップ劇場を改装してよみがえらせた「永久別府劇場」です。建築設計事務所「みかんぐみ」がその改修デザインを手がけ、「混浴温泉世界2012」ではダンスや映像、パフォーマンスイベントでにぎわいました。キャットウォークと赤い垂れ幕がかかった回転ステージ、ミラーボールのきらめきで構成されたシンプルな劇場内部は、コンパクトですが若干怪しげな雰囲気を醸し出しており、ストリップ劇場だったころの面影を残しています。

参加者の女性陣がステージ上を実際に歩いて、円形台座での回転を体験。だんだんその気になってきたのでしょうか、意外と皆さんノリノリです！

ツアー最後に訪問したのは、platform04。マイケル・リン氏と地元の建築家(有限会社 建築工房チーム21：天野 茂)のコラボレーションプロジェクトによって、築100年の長屋が再生され、現在はアートスペース・アートショップとして営業されています。 職人の手による手作りの工芸品や、アーティストと別府プロジェクトのコラボレーショングッズなど、様々なオリジナルアート作品が並ぶ店内で、参加者の皆さんはそれぞれの感性に響くお気に入りを物色する時間を楽しみます。

２階には、１つ目のアートスポットとして訪れた別府観光港のマイケル・リン氏の壁画の対作品となる襖絵が展示されていました。同じ赤い花に青い波のパターンが描かれ、100年以上もの時間が流れる古い部屋に新しい息を吹き込んでいました。しばし部屋でくつろぐ皆さん。木造家屋のぬくもりにホット癒されるひとときを過ごします。

途中から降り始めていた雨もなんとか止み、青空がのぞきはじめた頃に、ちょうど昼食となりました。老舗懐石料亭「四季亭はな村」の和洋折衷な空間で、ヘルシーで彩り豊かなお食事をいただきながら、ツアー最後の会食を楽しむ参加者の皆さん。
石川さんと山出さんを囲んで集合写真を撮影し、名残惜しくもツアーはここで終了となりました。

人と場所との出会いから生まれるつながりが、新たな体験を作り出していく「心を耕すプレミアム体験の旅」、カルトラ。国東ではゆったりとした時の流れを、別府では童心にかえって秘密の場所を探すような時間を楽しむことができました。両地域で展開していくアートプロジェクトの今後の展開にも目が離せませんね！

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  1977年東京都生まれ。写真家。2000年Pole to Poleプロジェクトに参加して北極から南極を人力踏破、2001年に七大陸最高峰登頂を達成。人類学、民俗学などの領域に関心をもち、行為の経験としての移動、旅などをテーマに作品を発表し続けている。写真集『THE VOID』（ニーハイメディア／2005）により、さがみはら写真新人奨励賞、三木淳賞受賞。
  『NEW DIMENSION』（赤々舎／2007）、『POLAR』（リトルモア／2007）、『VERNACULAR』（赤々舎／2008）を含む近年の活動によって東川賞新人作家賞を受賞。2010年、『ARCHIPELAGO』（集英社／2009）により、さがみはら写真賞、『CORONA』（青土社／2010）により、2011年土門拳賞受賞した。著書に『最後の冒険家』（集英社／2008）ほか多数。
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