昼食後、一行はバスに乗って、名和さんが主宰するスタジオ、SANDWICH見学のため、伏見区へ。SANDWICHは、その名が示す通り元々はサンドイッチ工場だった建物を改修し、様々なジャンルのクリエイターによる創作活動のプラットフォームとして設立されました。
バスを降り、朴訥な景色が広がる田んぼ道を歩いた先に、そのスタジオはありました。 一歩中に足を踏み入れると、そこはのどかな屋外から一転して活気あふれる創作の現場。まさに現在進行形で様々なアートワークの制作が進んでいます。
写真は1Fの様子で、現在次の展示に向けて進めているという「BEADS」シリーズ、そして最近発表されて話題になった「Direction」シリーズが奥に見られます。普段なかなか見る機会のない制作の裏側を実際に目の前にし、参加者の皆さんもテンションアップ。
チームスタッフが着々と作業を進めている緊張感と躍動感の中、鹿の位置を少しずつずらしながら水晶を取り付けているということ、紫色を足しながら微妙に色味を調整しているDirectionシリーズ、常に10個以上のプロジェクトが同時並行で進んでいるという話や、特殊な3Dモデリングソフトを用いて下準備を進める方法など、カタログやキャプションには書かれていない、名和さんによる詳しい制作プロセスの解説に、皆さん聞き入っていました。
2Fはデザイン・企画制作や小さいスケールの作品を創作する、広々としたスペースとなっており、奥にはレジデンスプログラムの参加者やスタッフのための宿泊施設や休憩室があります。キッチンスペースにて、SANDWICHのこれまでの歩みを映像で確認しながら、名和さんの今後の活動意向を語っていただきました。
次はいよいよお待ちかねのワークショップタイム。
名和さん自身も制作で使用している、ユポ紙と呼ばれる水分を弾く合成紙に、特殊な色インクを用いて自由にドローイングを行う作業です。
つるりとした表面に、Directionのようにインクを重力にしたがってたらす人、指で線をなじませてぼかす人、造形的な線を画面いっぱいに描く人、空気をインクに吹き付けて美しいグラデーションを生み出す人、紙を折り曲げ、泡とインクを混ぜ合わせて不思議な立体感をつくる人・・一人ひとり、割り当てられた紙とインクを手に、はじめは戸惑いながらも、どんどん作業にのめりこんでいきます。
お互いの描画方法を観察しながら、作業をするうちにそれぞれの工夫を重ねて、個性的な作品が次々と仕上がっていきます。
用意された道具はインクの他にも色絵具・筆など様々なものがありましたが、日常的な道具を用いていかに素材の特性を引き出すかも名和さんのこだわりのポイントだそう。参加者の皆さん、手と重力・初めて使う道具を用いて、想像力を大胆に紙にぶつけています。
一人一人の作品を見てまわっている名和さんとのやり取りの中で、皆さんの笑顔が自然とこぼれていたのが印象的でした。童心にかえって、たっぷりと絵の具を使いながら自由に絵を描く体験、大人になってからはなかなかありませんよね。
ワークショップでは、名和さんがディレクターを務める、京都造形芸術大学内の特殊教育機関「ウルトラファクトリー」とのコラボレーションプロジェクト「ULTRA SANDWICH PROJECT」(以下、USAP)のメンバーに協力を頂きました。皆さんが制作した作品は、絵の具が乾いた後に郵送されます!
国内外を問わず、世界中から京都を訪れる方々に向けた今までにない新しいスタイルのホテル。友人が集う場に遊びにきたような居心地の良さも兼ね備えながら、京都の今を表現するアートやカルチャーが集まる刺激に満ちた場を提供しています。