カルトラの第一弾は、世界遺産に登録され、日本有数の聖地として知られる熊野への旅。中上健次や南方熊楠を通して惹かれる人も多いこの地を、『日本の聖地ベスト100』『聖地の想像力』などの著書で知られる宗教学者・植島啓司さんと、七大陸の最高峰登頂を世界最年少で達成するなど、熊野をはじめ、世界各地を旅して多数の写真集、著作を発表してきた写真家、石川直樹さんと共にめぐります。
「聖地には神の臨在を感じさせる場所と、神に対して祈りを捧げる場所の二通りがある」
と植島さんは言います。熊野本宮大社や熊野速玉大社に代表される<表>の熊野と、巨岩信仰や修験道の場として知られる<裏>の熊野。今回の旅では、そんな表と裏の熊野を植島さん自身によるガイドで回ります。
そして、植島さんと親交があり、人類学・民俗学などの領域への関心から世界を旅してきた石川さん。最近は、国東半島など日本各地に残る「異人(まれびと)」と呼ばれる異形の神を追いかけている彼は、旅を続ける彼自身が常に別の場所からやってきた異人であり、「人間の生活は異なる他者といかに関わるかという選択の繰り返し」であると言います。今回の旅では、そんな彼による撮影のポイントのレクチャーや、参加者が撮影した写真の講評会などのワークショップも開催予定です。カメラを手に、巨大な石や樹木といった悠久の自然のなかを歩き、語り合う。写真ファンはもちろん、熊野をより深く体験するきっかけとなるでしょう。
「石は子宮の比喩であり、万物の始まりを象徴しているのである」
植島さんは、聖地とは移動の記憶であり、熊野をかたちづくる核心部分が一般に言われるような「死者の魂の集まるところ」ではなく、むしろその正反対の「万物を生み出す力」にあると言います。まさに、3.11を経て時代の大きな変わり目を実感する今こそ、熊野は訪れるにふさわしい場所なのではないか。
「日本のバリ」「東京からもっとも遠い場所」とも言われる熊野。その熊野を50年以上に渡って調査してきた植島さんと石川さんとめぐる、誰も知らない熊野。これを機会に一緒に旅に出かけてみませんか?
世界遺産の熊野古道や熊野本宮大社、発心門王子や河原の露天風呂、冬期は仙人風呂が楽しめます。
雄大な自然と豊かな水に育まれ、心にも体にも美味しく優しい旬の素材に恵まれている熊野。オリジナルの地酒やカクテルとともに、心ゆくまで熊野の味をお楽しみ頂けます。