2014.Nov.27
国東半島芸術祭レポート②
千燈プロジェクト
さて、いよいよ国東半島芸術祭の代表的な作品でもあるアントニー・ゴームリーさんの《ANOTHER TIME XX》の千燈プロジェクトにやって来ました。
こちらはふもとにある不動茶屋。中は案内所になっていて、またまた「おせっ隊」のみなさんが暖かくおもてなしをしてくれます。
ちょうどゴームリー像までのツアーが始まるところでしたので、芸術祭を楽しみに来られている他の方々と一緒に登ることができました。
不動茶屋からみたゴームリー像。写真の中央、小さいですが見ることが出来ます。
登るぞーと意気込んでガイドさんについていくと、案外あっという間に到着しました。
不動茶屋からは徒歩で10分ほどの距離なので、しっかり山を登った気分を味わいたい方は国東半島芸術祭公式ガイドブックにあるアートトレイルのコースを行くのも良いかも知れません。
こちらが岩肌にめり込むように建つ五辻不動尊。
中を覗くと、本堂の奥の壁が、岩肌になっているのがわかります。
毎年3月の第2日曜日には五辻不動尊春季大祭が開催され、こちらのお堂の中で「お接待」と言って伝統的にお寺のお坊さんと地元の方々の行事が開催されるとのことです。
その五辻不動尊から少し降りたところに、ゴームリー像《ANOTER TIME XX》が姫島の方を向いて立っていました。
自然の岩や石で出来たものばかりに囲まれていた時に、鉄の人体に遭遇すると、とても不思議な感覚がします。
作品が芸術祭期間終了後もこのまま置かれるのか、未定というお話をお伺いして改めてこの場所の持つ意味の重要性に気付かされたのでした。
香々地プロジェクト
オノ・ヨーコさんとチェ・ジョンファさんの作品を見ることができる香々地プロジェクトは、長崎鼻リゾートキャンプ場という海に面しながらお花が咲き乱れている美しい場所にあります。
昨年のCuntra Tourで訪れた行者洞穴もあるのがこちらのスポットです。
オノ・ヨーコさんの《念願の木》と《見えないベンチ》
長崎鼻リゾートキャンプ場の中に点在していて合計13基ある《見えないベンチ》。足元には石碑で様々な指示が書かれています。
これは「グレープフルーツ」という1964年に出版された作品集の中に収録されているメッセージとのことです。
《見えないベンチ》のある場所を求めて看板にしたがって進むと、植物に囲まれ海に面した複雑な地形のため、思いがけなく開けた光景に出会うことができます。
色々な意味合いを含んだ石碑の文章を味わいながら、景色を眺めてベンチに座るだけで特別な時間が流れました。
芸術祭終了後も作品や景色、洞穴も楽しむことができる、国東の中でも重要なアートスポットです。
真玉プロジェクト
海沿いに走る213号線の近くに多くプロジェクトが点在する中でも、一二を争う海から近い会場。
正に海岸そのものの目の前にある会場に、チームラボさんの「花と人、コントロールできないけれども、共に生きる-Kunisaki Peninsula-」があります。
他の会場と同じく、暖かく迎えてくれる地元の方々が待っていてくれました。
海岸線の広がる屋外の景色とうってかわって、暗室の作品なので入り口で説明を受けてゆっくりと中へ。
無数のお花が咲き乱れていました。人がいるところに花が集まってくるようです。
国東の大自然をたくさん見た後では、これほど大量なお花も不自然に感じなくなっていることに気づきます。
目の前で咲き乱れて散っていく花達を見ている方がくつろいでいる様子が印象的でした。
チームラボの猪子さんが表現する「国東の気持ちよさ」を少し体感することが出来たのかも知れません。
五反田団《怪談》
刻々と日が暮れていく中、心細い気持ちで提灯に導かれるようにお寺の本堂に向かいました。この日は劇団、五反田団さんの《怪談》の公演日でした。
五反田団さんのみなさんがそれぞれ体験した《怪談》を紹介していく・・・という内容だったのですが、最後に紹介されるエピソードが、正に今、この国東に演劇の公演の準備をするために訪れている五反田団さんに起こっている出来事だったので会場が恐怖の渦に巻き込まれてしました。お寺の本堂で日没後に聞く怪談は格別です。笑いあり、恐怖ありの体験で会場にいた方々との距離が縮まったように感じたのは、国東の広い山々の間を旅した心細さも手伝ったのかも知れません。
国東食彩Zeccoでの石川直樹さん《トークイベント》
国東市役所からほど近い町の中心地にあるこちらのレストランは「国東食彩Zecco」というオシャレな創作料理を頂けるお店です。
国東半島からすぐの姫島出身で自民党の副総裁まで務められた、故・西村英一さんが所有し、住宅や選挙事務所として使用されていた古民家を改装しているこちらのお店では石川直樹さんのトークイベントが開催されました。
古民家を改装したおしゃれなレストラン。ZECCOは「舌鼓」の音読みです。トークイベントの前に懐石料理を頂きました。
2014年10月に発売になったばかりの写真集、《国東半島》と《髪》についてお話された石川直樹さん。
石川さんの作品の中では珍しいモチーフである女性の髪を中心に撮影されている《髪》ですが、祭りや地形、狩りなど様々な国東半島を切り取られた写真集《国東半島》と切っても切れない関係のような成り立ちをしているとのこと。
というのも、《髪》もまた国東近辺のテーマパークや遺跡など、ほぼ全てが国東で撮影されている国東半島の写真集であり、他の写真を撮影する時と同じように「女性モデルの髪」というモチーフにある種の驚きを感じながらシャッターを切ったことで出来上がっているというお話をして下さいました。
意外な成り立ちと次々に飛び出すローカルスポットの名前で会場はなごみムード。楽しい時間はあっという間に過ぎていったのでした。
おまけ 国東の石仏たち
2013年のCultra Tourで石川直樹さんと国東を訪れた際にも、熊野磨崖仏や不動明王像など色々な石像を巡りましたが、今回も両子寺などの凛々しい不動明王像を拝んで来ました。
日本全国の石仏の約7割が国東にあると言われていることからも、芸術祭の企画や期間に関係なく、こうした石仏めぐりを楽しめることは間違いありません。
ぜひみなさんも、大自然と脈々と続く文化の息遣いを感じに、国東半島を訪れてみてくださいね。
きっと発見が待っているはずです。
ゴームリー像のある場所から眺めた姫島でとれた天然ひじきをおみやげに購入して、名残惜しく国東を後にしました。
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国東半島芸術祭
2014年10月4日~11月30日