2014.Sep.24
まつしろ現代美術フェスティバル②
前回に続き、本日は松代の町並みをご紹介致します。
松代といえば、多くの方が思い浮かべるのは、信濃国の豪族である真田家ではないでしょうか。
松代藩の城主として、長きにわたり松代の城下町をおさめた一族です。
今回は、その真田家にまつわるスポットを中心に、松代の町を紹介していきたいと思います。
駅に降り、少し歩くと目に入る真田家の家紋である"六連銭"。旗や看板、石彫など、町の至る所で真田家の歴史を感じることができます。
真田家の家紋は他にも2種類あり、時と場合によって使い分けていたようです。
六連銭の家紋は戦時に使用されていた為、時代劇などで見かける機会が多く印象深いのかもしれません。
六連銭は、地蔵尊信仰の六道銭に由来するものです。六道は「地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上」の、死後生まれ変わってからの行き先のことで、六文の銭は三途の川の渡り賃です。死者を埋葬する際に棺に入れ、それを渡し賃にすることで三途の川を渡り、成仏を遂げられるように、という祈りが込められたものであったようです。
また六の数字にかけて六道の衆生の救済を地藏尊に祈願する物でもあったので、戦場で人を殺すことを仕事としていた武士たちへの救いとして、戦時に使用されていました。
美しい町並みのシンボルのような家紋にも、このように意味が込められていたのを知ると、この地にかつて暮らしていた武士達への祈りが込められているように感じます。
六連銭に想いを馳せながら真田公園を進んでいくと、旧真田邸に到着します。
ぎしぎしと心地よい音を立てる廊下を進み、座観式の庭園に辿り着くと、季節を切りとったかのような小さな世界が広がり、目を奪われます。
まぶしいほどの緑に見え隠れする深い秋の色を、座りながらゆっくり堪能することができました。
真田邸の庭にある土蔵は、ギャラリーや体験工房になっています。
まつしろ現代美術フェスティバル中は、六連銭を象徴するかのような円形の作品が展示されていたのが印象的でした。
真田邸を出て、塀沿いに水路を見ながら歩いていくと、文武学校に到着します。
文武学校は、江戸時代後期に創設された松代藩の藩校で、明治時代初期に廃止された後は、昭和期まで学校として使用されていた建物です。
武道の稽古や大会に使われている剣術所・槍術所をはじめ、江戸時代の面影をそのままに質実な空気漂う敷地内は、
映画や時代劇のロケにもしばしば利用されているそうです。
受付には「ご自由にお持ち下さい」と書かれている折り紙の駕籠(かご)が。
江戸時代までよく使われていた駕籠を折り紙で再現する伝統の合わせ技に趣を感じます。
文学所の中では、中山雄一朗さんの作品が展示されていました。
中山さんの作品は、土、麻紐、木の3種類の素材で出来ているのですが、この文武学校も同じ素材で造られているそうです。
”変化する彫刻”をテーマにした中山さんの作品は、あえて時が経つにつれ重力で変化するような構造で作られており、非常に崩れやすく脆い彫刻になっています。
開校後150年以上の歴史を支えている文武学校のと同じ素材でできているという点に驚き、建物をじっくり眺めてみると、
150年の歴史を支えた痕跡として、造られた時とは違うのであろう変化が刻まれているということを、改めて感じとることができました。
松代には他にも真田宝物館や、川中島古戦場など、真田家に縁のスポットが数多く存在しています。
歩きながら、真田家の歴史に想いを馳せる中で、過去に存在していた人々の生き様や考え方に触れる時間は、
自分の中に新たな価値観を蓄えられたように思います。
次回は「建造物」をテーマにさらなる松代の魅力を紹介したいと思います。
Information
■まつしろ現代美術フェスティバル
■真田宝物館
■信州松代観光情報