『日本書紀』などの倭姫命伝説で「美し国(うましくに)」と称された三重県伊勢市。本州の中ほどに位置し、伊勢湾を臨む風光明媚な土地は、日本最古の神社の一つ・伊勢神宮の門前町として万葉の時代から多くの人に愛されてきました。
その「神都」伊勢の中心に鎮座する伊勢神宮は、125社神社から成る日本全国の神社本庁の本宗です。古代においてはカルトラ国東ツアーでも訪れた大分の宇佐神宮、中世においては京都の石清水八幡宮と共に二所宗廟の一つとされた、2000年以上の歴史を持つ由緒ある神社であります。もともとは限られた人のみが参拝できる聖域でしたが、現在では国内随一のパワースポットとして毎年600万人もの人々が訪れています。2013年は全社殿一式を造り替えて御神体を遷す、20年に一度の式年遷宮の年として、世間の注目を一段と集めました。昔から「伊勢へ七度熊野へ三度」など、信心深いことを表す慣用句にも使用されるほど参宮文化の象徴として名高い伊勢神宮ですが、どのようにしてこれほどまでに多くの人の信仰を集めるまでに至ったのでしょうか?
カルトラツアー第七弾は、『日本の聖地ベスト100』・『聖地の想像力』などの著書で知られ、カルトラツアー第一弾にもご参加いただいた宗教学者・植島啓司さんとめぐる伊勢の旅です。財団法人国際宗教研究所理事、および皇學館大学の教授を務める宗教学者・櫻井治男さんをゲストに迎え、あまり知られていない伊勢の神秘を存分に体験していただきます。今最も話題の伊勢神宮をはじめ、伊勢神宮にまつわる名所や、植島さんの著書『日本の聖地ベスト100』に登場する伊勢の聖地をまわりながら、より多角的な視点で日本人のルーツを辿ります。
ツアー初日は62回目の式年遷宮で涌く、伊勢神宮の外宮・内宮を参拝。まずは、「植村直己冒険館」「平等院鳳翔館」などで知られる栗生明が設計した新設博物館、「せんぐう館」を訪問し、これまで公開されることのなかった工事道具、神事、装束、神宝などを見学します。現代の感性と伝統が融合する空間で伊勢神宮への理解を深めた後は、衣食住と産業の守り神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る外宮御正殿の玉垣内での御垣内参拝(みかきうちさんぱい)と、遷宮まで元のお社が建っていた古殿地参拝を行います。
正式参拝となりますので、拝観の際には男性と女性でそれぞれ指定の服装基準を必ず遵守し※、1300年の歴史を脈々と受け継ぐ20年に一度の祭儀の一片をご体験ください。外宮参拝後は、天皇家の総祖神・天照大御神(あまてらすおおみかみ) を祀る内宮へ移動し、五十鈴川周辺の広大で清らかな自然に身を浸しながら、遷宮後の御正殿を参拝し、外宮とは違う雰囲気を味わいます。
二日目・三日目とかけては、伊勢神宮内宮を創設した皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)を祀る「倭姫宮」と、その陵墓参考地「倭姫命御陵」、美しい五十鈴川に囲まれ、神鏡を奉斎する「鏡宮神社」、その向かいにある内宮第一の摂社「朝熊神社」、外宮と内宮の中間に位置し、天照大御神の弟神・月読尊を祭神とする「月読宮」、輿玉の森と呼ばれる丘に鎮座し、水神・山田姫命を祀る「宇治山田神社」、古来は伊勢参宮に訪れた人々が禊祓いを行った二見浦に鎮座する、夫婦岩で有名な「二見輿玉神社」、『延期式』神名帳にも記載のある古社「江神社」、二見輿玉神社の摂社であり、地元民の厚い信仰を集める「栄野神社」、植島さんの『日本の聖地ベスト100』にも紹介されている「伊雑宮」、穂落としさんとして慕われ、鶴を大歳神として祀る「佐美長神社」、伊勢神宮内宮の別宮である大神の遙宮「瀧原宮」と、ディープな伊勢の見どころをくまなくまわりながら伊勢神宮と巡礼の全貌を眺め、現在まで途絶えることのない伊勢信仰の源流を探ります。
非常に濃厚な旅を終えた旅人を迎えるのは、鳥羽湾の穏やかで雄大な眺望を誇る鳥羽の老舗旅館、「戸田家」。
趣向を凝らした豊富な温泉施設で旅の疲れを癒して一息ついたら、ホテル自慢の伊勢郷土料理をお召し上がりいただきながら、1日目は植島さんと櫻井さんの対談で更に知識を深め、2日目は旅の様子をスライドショーで振り返りながら、参加者同士で豊かな思考と体験を共有する贅沢な時間を堪能してください。
「聖地を画面や映像で見ても、それは一つの情報でしかありません。実際に現地へ行くことで、今までに感じたことのない五感、皮膚感覚を感じることができますし、温泉に入ったような気持ち良さがあったりもします。」(植島啓司さん)
実際に現地を訪れることで得られる、知識と視界が開かれていく感覚は何にも代え難い貴重な体験です。聖地のエキスパートである植島さんと櫻井さんのガイドの下、「伊勢へ七度熊野へ三度」、「一生に一度はお伊勢参り」と言われるほどに多くの人々を引き寄せる伊勢神宮と、その神宮の歴史を継承し続ける伊勢の魅力をたっぷりと味わうプレミアム体験の旅。皆様のご参加をお待ちしています。
※当ツアーで予定している外宮正殿御垣内および古殿地での正式参拝時は、男女それぞれ指定の服装基準を遵守してください。男性は黒かダーク系のスーツ・ネクタイ、靴を着用、女性はスーツもしくはそれに準ずる服装で、ジーンズや膝丈上のスカート、ブーツ、帽子などの軽装は避けてください。服装やふるまい等相応しくないと判断された場合、参拝をご遠慮頂く場合がございます。
※その他の行程は歩きやすい靴と服装でご参加ください。